3月4日はキースの命日だったので、ジムでランしつつ、これを流していた。
そう、
THE PRODIGYはかつてこう歌っていた。
“Invaders Must Die”、とな…。
ところで先日。
2022年の2月26日だから、世界の向こうのほうでドンパチが始まった数日後。
かなり早い段階に、当時、こんなことをFacebookに書いていた。
尤も今となっちゃ余りに遅すぎる後出しなのだから、更新ってのはこまめにするもんだ。
ウクライナ侵攻は、絶対に、ありえない。
まず第一に、今回のウクライナ包囲におけるロシアの最大の目的は、あくまでウクライナが無視しているミンスク合意(東ウクライナの外交的自治権)の履行。
よってウクライナ侵攻はその実現化そのものを完全になくすことになるとともに、NATO加入を推し進めることになり、ロシアの理にかなわない。
そもそも東ウクライナの完全分離独立は、ロシアの意向では実はない。
というのも、ウクライナ東部はウクライナ内にあってこそロシアの政治的影響を国内に維持出来るものであり、それがなされないことは本来の目的たるミンスク合意履行に遠のくことになる。
よってそれを促すような軍事侵攻は、ロシアにとっての国益に外れる行為でしかない。
では何故ロシアが軍事包囲に出たのか。
そもそもこのウクライナ包囲の向こう側にロシアが見ているのは、NATOのさらなる先の、アメリカに他ならない。
つまりこのアメリカを如何に議論のテーブルにつかせるかが、ウクライナ包囲におけるロシアの本当の思惑だった。
それから、それに関わることで、もうひとつ。
今やロシアの主要産業はもはや天然資源と軍事(と核やミサイル技術のベースになる宇宙事業)くらいしかなく、経済指標は発展途上国レベルでしかない。
(日本も他国のことは言えんが)
その結果、世界のヘゲモニー争奪戦はもはや米中二大国というのが国際常識化しているのは言うまでもない。
しかしそれはプーチンロシアにとっては許しがたいことだ。
よってこの米中世界の象徴だった北京オリンピック終了のこのタイミングに包囲発動することで、ロシアが例え経済的ヘゲモニーを失ったものの、しかし軍事面ではいまだ変わらず超大国であるとのメッセージを国際社会に訴えることで、再び世界の注目が米中露という三大国図式に向かわせようとした。
その結果、アメリカという大国を議論の場に出しやすくなるし、そして事実そうなったことによって、現状、ロシアの目的はほとんどかなっていた。
だから、これ以上侵攻するのは今度はロシアの外交的なデメリットを生じさせる行為でしかない。
よく巷間言われるNATO加入や核開発、ウクライナ軍事拡大だって、そんなものはほんの数年で出来るものではないので、多くのデメリットを甘んじてまで、今このタイミングで包囲のみならず軍事侵攻までする必要性は、希薄でしかない。
では実際に侵攻したこと(したんだけどさ)で損なわれるロシアのデメリットとは何か。
まず侵攻すれば、多大な経済制裁を受けることになる。これはプーチンにとっては最大の支持基盤である国内裕福層の首を締めることになるとともに、2024年の選挙における大きな痛手になる。
さらにこっちのほうが重要であろうが、本音はのらりくらりでテーブルに付きたくないアメリカの煽りの思惑通りとなり、アメリカによる「ほれ見たことか」と世界の批判をロシアに集中して制裁対象とさせられるとともに、しかも結果的には本来の抑制目的だったはずのNATO東方拡大阻止をさらに促すことになる。
(で実際そうなりつつある)
現在の天然資源の高騰傾向は、実は必ずしもロシアのメリットには向かわない。
故に今この現状でEUとの関係性を悪化させることは、むしろドイツやフランスなどの脱天然ガス化を促すことになり、さらなる経済停滞に陥る危険性が高い。
…と合理的に考えれば、外交上どう見たってロシアにとっちゃデメリットしかないので、米メディア系と軍事評論家筋が意図的に煽ってきた「おい見てろあいつ間もなくドンパチに火ぃ付けおるで」論に対し、つい数日前まで割とマトモな地政学者勢に言われていた「素人乙wwww冷静に見て外交上ありえねーわwww」だったウクライナ軍事侵攻を、その「まさか」の非合理でガチにやってのけるところが、ロシアという国家なんだよな…。
(2022年2月26日現在)