MELVINS/「Working With God」(74p/100)
随分とこれまた緩くきたものだ。
オリジナルドラマーのMike Dillardが再び戻ったために、Dale Croverがベースにチェンジ。
御大King Buzzoとのトリオ編成としての、つまりは1983年結成時体制である「MELVINS-1983」名義と同じ陣営による大重鎮オルタナ/ドゥームバンドの新作だ。
ということは「TRES CABRONES」(2013年)同様の原点回帰路線を予想させられるところだが、しかしもっとこちらはユッルユル。
何せ初っ端、いきなりのTHE BEACH BOYS。それもカヴァーというよりは明らかにおちょくりパロったサーフロック調から始まるあたりからも、本作のその志向が覗けるだろう。
勿論彼等ならではのドゥーム/スラッジを中心に、ハードコアチューンを交えたりと、バラエティは割と豊か目なはずなのだが、しかしそれらもガチゴリというよりルーズな作りで、しかも彼らなりのユーモアがいつになくサウンドに散りばめられている。
恐らくだが、その作風に影響を与えている要因が、この新型コロナウイルスによるパンデミック騒動であることは想像に難しくない。
事実、世界が混乱し、そして皆が閉じこもり、マスクで口を塞がれ、下を俯きがちな今この時代に、彼らはここで「I Fuck Around」と歌い飛ばそうとしている。
しかももう相当にいい年のおっさん3人が、まるで結成当時の中高生みたいに(MELVINS-1983!)「FxxK」「FxxK」と繰り返し、中指おっ立ておちゃらけながら。
世界よ、くだらない日常に、また笑え。
本作のファニーな作風に託されているのは、そんな彼らなりの暖かな思いなのだろう。
DATE
- アーティスト名:MELVINS
- 出身:US
- 作品名:「Working With God」
- リリース:2021年
- ALTERNATIVE、GRUNGE、DOOM、SLUDGE METAL、SLUDGE CORE他