今週から日曜朝企画。
仲間内の音楽仲間向けにFacebookで書いていたものを、こちらにもあげていきます。
というわけで、例の脱退事件を受けて先月にレコード聞きながら書いたこれを。
今週も、コオヒイひいてレコオド流して、休日恒例ヴァイナルカフェ。
春のメガデス。春 Sells…But Who’s Buying?あーそれエレf「ピーッ!(自主規制)」
MEGADETH/「Peace Sells…But Who’s Buying?」(1986)
そんなわけで、先月エレフソンさんが脱退してしまったMEGADETH。
どうやらエレフソンさんのSTATIC-XがLOSTPROPHETSされて島袋ったという話ですが「何もしないなら帰れ」とまでは言ってないご様子。(やめろ)
バンドの行く末に関してはもはや今後見守っていくしかないわけですが、それはさておき本日はこちらの2nd「Peace Sells…But Who’s Buying」を取り上げてみます。
MEGADETHの中でも最もスラッシュメタリックなアルバム、それがこの「Peace Sells~」。
ちなみにMEGADETH中最もスピーディなアルバムが1st「Killing Is My Business~」で、最もインテレクチュアルスラッシィなアルバムが3rd「So Far,So Good~」だと思ってますね。
とりあえず、MEGADETHの最高傑作はと問われたら、紛れもなくこの「Peace Sells~」が挙がるとことでしょう。
でもそのすぐギリ下を「Killing Is My Business~」と「So Far,So Good~」がせっていて、日と気分でこの初期3枚のどれが一番でもおかしくなくて、でこの初期三枚に遠く及ばない超えられない壁どころか山脈が、これ以降。
はーい、この認識で皆さん、異論はありませんね?勿論ないですよねー?
じゃ話、進めさせて頂きますよー。(ニッコリ
で、やっぱりクリス・ポーランドな訳ですよ、インテレクチュアルスラッシュなギターと言ったら。
キリキリと神経に刺さるような鋭角のリフと、切り刻むようなスピード感あるソロ。
さながらジャズのように編み込まれたバッキングに、殺気すら放つムスのニヒリズムがそこに合わさってこそのMEGADETHですやん。
ジャジーにジャジジャジしてこそのMEGADETHですやん。
音が尖り、ヒリつき、つんざき、ささくれ立ってこそのMEGADETHですやん。
切り刻むような緊張感と凍てつく鋭利さ無くしたマーティ時代なぞワシャ断じて認めんぞ!
え「Rust In Peace」? 何それスラッシュじゃねーし!
…はい、御免なさい今聴くと普通に名盤でした…。
それはさておき、流石は最高傑作。まあ、いい作りしてますよね。
“Wake Up Dead” の初速からカッ飛ばしで切り裂いて、で早速 “Peace Sells” からの “Devils Island” で、早くも最高速度に。
しかも大手メジャーのキャピタル、予算しっかり取れてるからアナログで聴くとこの曲、CDに増してのリフのジャキジャキした切れ味がたまらん。
まあ前1stでは製作費ドラッグで使っちゃったしね、駄目大佐さん。
で、かたやB面は抑揚と多様が待っている。
ギャッギャッギャからのスピードアップがたまらん “Bad Omen” のおどろおどろしさから、ブルージーさにセンスを思わせる “I Aint Superstitious“、そしてダーイ!なラストへ。
このね、流れがいいもの。アルバム流れが。
で、こうして聴いてみると、如何にメガデスが独自の存在だったかが良くわかるというもの。
例えば、四天王で考えた場合、初期作品を極論的に判りやすく見てみれば、ハードコア的な激性を経過したJUDAS PRIESTがSLAYERだったし、そのIRON MAIDEN版がANTHRAXだったし、MOTORHEADとDIAMOND HEADなどのNWOBHMがMETALLICAだったとしたら、でもMEGADETHだけにはそういうものがここに余り見られない。
いや、そういう面もないわけではないんだけど、やっぱり異質だ。
それはやっぱりムス様のクソ高い音楽的資質と名リフメイカー&コンポーザーとしてのセンスがあったからだったわけですよ。
少なくともこの頃まではね…。(遥か遠い目
MEGADETH/「Countdown To Extinction」(1992)
さて、普通はここで終わるはずなんですが、これ書いているうちにFacebook上で気分がのってきて、「Countdown To Extinction」についてもダラダラと書いてしまったので、こちらも挙げておきます。
で、そんな5th「破滅へのカウントダウン」。
メガデスの中では「Risk」と並ぶ自虐タイトル、副題「MEGADETH終わりの始まり」(嘘)。
尤もこの頃の本人達に自覚はなかったんだろうけど。
何せ全米チャート2位記録保持という、立派なヒット作。彼らのアルバムでは、結果的に一番、売れた。
でも、今朝の(「Peace Sells~」からの)流れで聴いてみたけど、やっぱりダメすね。
いや駄作だとは全くないし完成度は高いと思うんだけれど、んじゃこれが初期3作の高みに匹敵して並ぶ位かと問われたら、そうは到底思わない、というレベルの話でね。
まず、鋭利さが失われた。
寄らば切らんスピード感が失われた。
ナイフみたいにとがっては触るものみな傷つけるギザギザハートが失われた。
つまりは、上で「Peace sells~」について書いたこれ↓が、ごっそり無くなった。
キリキリと神経に刺さるような鋭角のリフと、切り刻むようなスピード感あるソロ。
さながらジャズのように編み込まれたバッキングに、殺気すら放つムスのニヒリズムがそこに合わさってこそのMEGADETHですやん。
ジャジーにジャジジャジしてこそのMEGADETHですやん。
音が尖り、ヒリつき、つんざき、ささくれ立ってこそのMEGADETHですやん。
代わりに耳障りのいいメロディと、ポップな歌メロが加わった。
初期3作でのムスのヤスリみたいなジャリついて、ヒステリックかつシニカルで冷ややかなあのVoがメチャクチャ恰好良かったのに、このアルバム以降、大佐の歌が恰好良いと思うことがほとんどなくなった。
思い起こせば、この頃から言われ始めた、「ムステインは音痴」説。
当時は意味が判らず「はぁ?つーか巧いとか音痴だとか、そもそもムスに歌唱力を求めてんの?www」とpgrっていたんだが、確かにこの頃から段々と歌メロを追うようになってる。
だからそっちの歌唱力競争に巻き込まれて、そう言われていくようになったわけだ。
それと、実はコイツの功罪なんじゃねーか、と怪しいのがプロデューサーのマックス・ノーマン。
金かけたこのメカニカルなサウンドプロダクションが、洗練を意識するあまりにバンド本来の攻撃性を大きく削いでいる気がする。
次の「Youthanasia」然り、この人、もうちょっと何とかならんかったのかい。
それと、緊張感を削ぐようなメロディとか、そーいうのはいらんねんマーティはん。
…と好き勝手にケチつけ始めると止めどもねーんですけど、とはいえこれはねえ、実は仕方ない。
それはもうね、「時代」なんですよ結局は。そう、「時代」なの。
だってこれ出たのが、1992年ですよ。
METALLICAが脱スラして黒盤を出し、PANTERAやHELMETが新たなヘヴィネスのスタイルを示し出し、一方でスラッシュメタルの隣人だったはずのオルタナグランジが台頭してNIRVANAが「Nevermind」出してと、スラッシュシーンにも変革と危機感が求められてきた時代のことだったんですよ。
だって、これ全米2位で200万枚売ったけど、ほぼ同時期発売のALICE IN CHAINSが「Dirt」で350万枚売ってんだよ、前年の91年にCLASH OF THE TITANでは前座で出てたアリちゃんがその翌年に。
つまりは、スピードとクランチから、ヘヴィネスとグルーヴが「新たなメタルのカッコよさ」を担う時代へ。
そんな、もう80年代スラッシュメタルじゃねーんだよって時代になっていく中、MEGADETHも時代に合わせた「第一線で最も尖ったメタル」という立ち位置を模索し、試行錯誤し、迷走しながらこうなっていったわけですよ。
しかも結果的には次の「Youthanasia」もミリオンで売れて全米4位獲得出来たわけだし(まあそこまでだったけど)、寧ろあの逆風の中でよく頑張ってたよね、孤軍奮闘していたよね、大佐は、MEGADETHは。
そう思うと何とも感慨深いもんですなぁ…とか、そんなぼくらの90年代を思い振り返りながら今日はジムで走ってきました。
- アーティスト名:MEGADETH
- 出身:US
- 作品名:「Peace Sells…But Who’s Buying」
- リリース:1986年
- THRASH METAL
よって、そのほとんどが70~80年代の古いものばかり。
尤も音楽批評というかしこまったものよりは、大概がただの独り言程度のたわいない呟きなので、ゆるーく本気にせず(笑)読んでいただければ幸いです。