今週は、豊作、豊作。たまらん、たまらん。
一言でいうと、
がじら→ヤバいな!
ゲリ漏れ→神だな!
ドロップキック→最高だな!
では、どうぞ。
GOJIRA/Fortitude:91p
(今週のオヌヌメ)
頭デッカチに堕すことなく、知性を轟音に宿させる。
アーティスティックな世界観を広げつつ、しかしメタルとしての暴虐性と熱量ある肉動感を失わない。
そんな、やもするとアンビバレントにすらなりかねない感性のコントロールをこの巨獣は未だに、いや以前を遥かに増して高次元で成立させているのだから全くもって大したものだ。
フランスから世界上陸したハイブリッド・デスメタルモンスター5年ぶりの新作、グラミー賞にノミネートされてそろそろ日和ってきたかと侮り訝しがれば、さにあらず。
どころかパワーアップしたかの水爆放射火炎吐き散らし火の海ぶちまけ、オシャレスノッブ焼き焦がさん様にこれぞ天晴獣王と思わず膝を叩かされた。
何と言っても、エクストリームメタリックな剛性が再増強されているのが嬉しい限りだ。
ポストロック由来のアトモスフィアな空間を焼き尽くすスラッジの業火と、デス所縁の黒炎。
しかもそのタッチも悲哀を帯びたダークな色調の割に多彩で、時にオーガニックに、時にマジカルに、時にマシーナリに…。
かくしてバンドを新たな高みに至らせたこれは、紛れなく彼らの深化にして進化の賜と言えるだろう。
故に断言する。本作が彼らにとっての掛け値なき、最高傑作だ。
GARY MOORE/How Blue Can You Get:85p
何故かは知らぬが、今頃になって掘り出されてきた故ゲイリー・ムーア御大によるカヴァー主体のブルーズトラック集。
世代も含めた私事で申し訳ないが、90年代のゲイリーのブルーズ傾倒については、当時は理解しようと頑張ってはみたものの、正直やはり両手を挙げて肯定とまでは至れなかった身。
しかしそれが今こうやって聴いてみると、魂を叩きつけるような彼のギタープレイがこの方向に進められていたのは、時代を超えての普遍性を示唆するものであったことを今更ながらに知らされるようだ。
と同時に、しかし一方で彼の示すブルーズの範疇が、実はソロ時代からそうもかけ離れていないということも、興味深い事実として見えてくるだろう。
つまり、ゲイリーはやっぱり、ゲイリー。どこまで行っても望郷の魂を削り込むかの情念満ちたギターを、どんな音楽にも注ぎこんできた匠そのものだったのだ。
本作は、そんな彼の本質とともに、神域にも迫る極上プレイがたんとこめられた、やもすれば最後とすらなりかねない貴重な未発音源コンピである。
尚、本作と時同じく発掘されたライブ音源集も、これに劣るどころかスタジオテイク以上に激熱に勝りかねないものなので、そちらも是非チェック&期待されたし。
THE DROP KICK MURPHYS/Turn Up That Dial:84p
然るに、アイリッシュパンクというのは、重くて厚い曇り空の下で、しかしそれでも上を向き、生きるがために陽気にかき鳴らされるロックである。
あたかもそう訴えるかのように、ぼくらのドロップキックがこの今のタイミングで、新作を打ち出してきた。
そう、新型コロナウイルス全盛の緊急事態宣言とかいうGW連休下。あれもダメこれもダメと、いつの間にか息苦しくうつむいて生きるのが当たり前にすらなりかけているぼくらの日常に、上を向いて歌えと伝えるがべく、だ。
しかも、いやだからこそ。ここしばらくよりも、活気豊かで勢いが高まっているではないか。
そんなロックが、今この瞬間に、魅力的に響かぬわけがない。
下を俯き生きることに「抗う」、即ちパンク。
しかしその重みを知り、それでも明るく生きる大事さを知っているがゆえの、ポップな躍動感。明朗なバグパイプ。
嗚呼、世界はどうか知らないが、今日は五月晴れだし、ぼくは幸せに生きている。そう思いたかったら、このアルバムと一緒に缶ビールを開けるといい。
そのために彼らのロックはこれまで、そして今回も賑やかしく鳴らされ続けてきたのだから。
ESCAPE THE FATE/Chemial Warfare:74p
SLAYERかよ!なタイトルの、ポストハードコアバンド3年ぶりの新作だ。
ポップかつデジタルなアレンジで、レンジ広く今様のモダンアメリカンメタルを指針にしてはいるし、それ相応のクオリティも示してはいるだろう。
例えばコンポーズの柔軟さとか、シンガロンなサビの巧さとか、器用なバンドなのはよく分かるのだが、しかし。
ではそれが抜きん出るレベルにまで至るかと問われれば、もう一歩及ばないというのが正直なところ。
何分こういうものは有無言わさぬクオリティ勝負もの故に、もう少し力技で黙らせてくれないと、やっぱり物足りなさが残るというもの。その決定打にまで、もう少しで届いていないのが残念だ。
今週のまとめとつぶやき(と本音?)
大豊作、つってもいんじゃないかな今週はもう。
まずは何と言っても、GOJIRA。
いやもうこれ、前作超えてるでしょ。
まず、うっさくなってるのがたまんない。
普通あんな前作出したら、つまんないメタルバンドはみんなこぞって大風呂敷の頭でっかちになってくじゃないですか、MASTOD…ゴホンゴホン。
でもここでフィジカルに向かうのが、まず偉い凄い素晴らしい。
大体、何このPVのSEPULTURA。最高しかないんですけど!
ここらへん、アンディ・ウォレス(RAGE AGAINST THE MACHINEなどで知られるサウンドエンジニア)をミックスに起用したのも正解でしたな。
ちなみに、
「かくしてバンドを新たな高みに至らせたこれは、紛れなく彼らの深化の賜と言えるだろう。」
という後に「これぞ、シン(新=進=深)ゴジラ」と書きたかったけど、やめておいて正解だったな、って今心底思っておる所存ですまる!
次、GARY MOORE巨匠。
実はさっき「CORRIDERS OF POWER」聴いてましてね。
で、その感想を載せたのがこれ↓。
そんな勢いある演奏の上で、弾き倒してなんぼの当時のオセオセなゲイリーギターが炸裂しているのがこのアルバムだった。
だから泣きもね、基本オセオセ。
ていうかそもそも、そういうギターなんだよこの人のプレイは。
オセ泣き。泣き倒し。無遠慮泣き。パワー泣き。泣くぞコノヤロウ。強引グ泣きウェイ。
でもそれがゲイリー。そーいう人なの。そーいうギターなの。
そこが最高しかない。
こないだ出た、恐らくは彼最後の音源であろうと言われているブルーズアルバムも、そう。
特にライブ盤は、そんな彼らしいオセ泣きブルーズライブ音源になっている。
まー、これですね、オセオセブルーズ。
本作もこれに尽きます。
ちなむとライブ盤は更に強引グ泣きブルーズなので、一緒に聴くことを強くオヌヌメします。
酒がうまいで!
にしても個人的には世代もあって、「WILD FRONTIER」=超えられない壁派なんですが、こうやって30年以上も経って向かい合うと、ブルーズの時代に左右されない感すげーなって、素直に思いますわな。
で、DROPKICK MURPHYS。
実をいうと、今週一番のヘビロテが、なんとこれでした。
だって、こんな天気のいいGWにどこもいけないんだぜ?
仕方なく、自宅のバルコニーで、大音量でこれ流しながらバクパイプに男臭いシンガロン浴びつつ、五月晴れの空見ながらビール飲んだら最高すぎました。
そのせいで、この連休中はずっとリピって聴いていたなー。
あれダメこれダメばっかりで下向く風潮の社会なんてクソくらえ、とことん抗ってやろうぜ、なあパンクはよ、ハードコアはよ、メタルはよ、ロックはよ!
ESCAPE THE FATE。
普通。
てか普通に、イイっす。
でも今週は相手が皆、悪すぎましたね。
この強豪揃いの中では、そりゃあ霞むのは…なんかもう、しょうが無いよね…。