ヴァイナルカフェ(2019 05/02) ~SPECIAL AKA/「In The Studio」(1984)

ヴァイナルカフェ
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早朝からお仕事こなして、娘ちゃんを部活に送り、ふうと朝の一服。
コオヒイひきながら、こんな梅雨の雨の日にはこんなラテンな音楽もいんじゃないかな、の休日恒例ヴァイナルカフェ。
カップもツートンだよ!

SPECIAL AKA/「In The Studio」(1984)

バンド創始者のJerry Dammersナシで18年ぶりの新作を、こないだ出した元祖ネオスカ、THE SPECIALS。
本日は、そのJerry DammersがSPECIALS分解後に、残った面子に加えてStan CampbellをVoにしてはじめたプロジェクトバンドによる、1982年にリリースされた唯一のスタジオアルバムのこれを取り上げよう。
ちなみに、言うまでもないけれど「AKA」とはアカ、つまり共産主義のこと。
…なわけが勿論なくて、「also known as」。つまりバンド名は、かつてスペシャルズと言われたもの、って意味。
というのも、この頃SPECIALSは既に解散状態を経て、Jerry DammersによるこちらとTerry HallらによるFUN BOY THREEに二分していた。
そんな実情を踏まえれば、彼らがかつてのSPECIALSを継ごうとしていた意気がそこに見えるだろう。
尤もこれをほとんど最後に、Jerry DammersもStan Campbellもシーンから消えてしまうわけだが。(※1)

さて、このアルバム。
まず目につくのはやはり、「ブルーノートかよ!」と皆が思うであろうこのオシャレ・ジャズジャケ。
そんな志向は、実際、内容にも露骨に現れている。
“Bright Lights”で、のっけからいきなりエキゾチックにスタート。
SPECIALSからぐっとジャジーに黒光りする光沢とツヤを増やしたサウンドは、スカを完全に超えて、寧ろ歌モノジャズ/ソウルといった様相。
さらにはファンクやソカ、アフロ、ジャマイカレゲエなどをも取り込んで、より無国籍に、よりノンジャンルに。
そんな、ここにはいわばJerry Dammersによる「ぼく(70~80年代初頭英国ロック)のかんがえたぶらっくみゅーじっく」が広がっている。
かような意味で言えば、色とりどりだったSPECIALSの2ndアルバム「MORE SPECIALS」を継いでいるかともいえようが、ただし(確かにダークだったものの)ホットだったSPECIALSに対しこちらはもっとクールであり、また黒味と渋みがかったアダルトなインテリジェントさが漂っている。
例えば象徴的なのが、このアルバムきっての名曲、”Free Nelson Mandela”の存在だ。
タイトルからも判るよう、かつての南アフリカ共和国のアパルトヘイト問題をテーマにしつつ、彼らはそれをあえてダンサブルで朗らかに歌ってみせている。
そこには、THE SPECIALSが元来主張してきた2トーン、つまり「白人と黒人の融合」への意識の継承が強く見て取れよう。

てなわけでラウンジーで大人っぽい雰囲気といい、決してスカとはいえない音楽性ではあるものの、しかしそんな微細なジャンルに囚われない果敢で貪欲な姿勢といい、元々何者にも囚われない存在だった彼らしさが溢れたアルバムだったのではないか。
なお個人的には、”Girlfriean”の不穏な明るさも好きだし、あとはRico Rodriguezをトロンボーンでフィーチュアしながら物悲しくレゲエをかます”Racist Friend”とか、ほんとかっけーと思いマス。

追伸。
それはさておき、Terry Hallがなんと加わった新しいTHE SPECIALSのアルバムがまた、ファンキーで思いのほかにええのですよ。
最近ほんとこれよく聴いているなあ。

※1:Stan Campbellはこの後彼名義のソロアルバムを出しており、これまたなかなか良いのでレコードが欲しいところ。

DATE
  • アーティスト名:SPECIAL AKA
  • 出身:イギリス
  • 作品名:「In The Studio」
  • リリース:1984年
  • SKA,JAZZ,NEW WAVE,PUNK,

 

ヴァイナルカフェとは
近年やっとアナログレコードにハマった超絶情弱時代乗り遅れ管理人、黒崎正刀が、休日の朝に趣味でコオヒイをひいて、その日の気分で持ってるレコオドを流し、まったり鑑賞している間にゆるーくSNSなどで書いているものを、こちらのブログに転用したもの。
よって、そのほとんどが70~80年代の古いものばかり。
尤も音楽批評というかしこまったものよりは、大概がただの独り言程度のたわいない呟きなので、ゆるーく本気にせず(笑)読んでいただければ幸いです。
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