だらけまくりの、土曜午後。
降り出した雨眺めつつ、娘ちゃん土産のラスクかじりながら、取り敢えずコオヒイ入れて一服こいとく休日恒例ヴァイナルカフェ。
本日は、こないだのユニオンパトロールでゲットンしたこいつを流しながら。
PUBLIC IMAGE LTD./「Metal Box(Second Edition)」(1979)
SEX PISTOLSのフロントマンであったJohnny Rottenが、その脱退後に本名であるJohn Lydonの名で組んだのが、このPiLことPUBLIC IMAGE LTG.。
この「LTG.」とは言わずもがな、「株式会社」の意。
つまりバンド名は、「公的イメージ(株)」ってこと。
SEX PISTOLSのスキャンダラスさ、あるいはがらっと変えてきた音楽性に対する自虐的な皮肉と、当時勢いを付けてきつつあったサッチャー政策、つまりハイエク的な新自由主義(いわゆるサッチャリズムというやつだな)的資本主義をも風刺した、なんともシニカルなJohn Lydonらしいセンス溢れるバンド名だ。
ちなみにギタリストは、THE CLASHの初期メンバーだったKeith Levene。
さて、これはそんなPiLの、代表作と誉れ高い2ndアルバム。
…なのだが、おっさん達の常識の通り、このアルバム、オリジナルは「METAL BOX」といってそのタイトル通りメタル製の丸くて大きな缶に入れられたものだった。
しかも当時だからレコードで、45回転×3枚組。
あ、ちなこれまた昭和キッズ(おっさん)達の常識なんですけど、その昔レコードには「33回転」と「45回転」てのがありましてな。
んで「45回転」は所謂シングルレコードが多くて、で何より音がイイと言われていた。実際どうか知らんけど。
要するにJohn Lydon、音質やサウンドにかなり拘っていたわけですね。
尤もその後、「Metal Box」はこのように「Second Edition」というタイトルで、曲順変えた(あとエディション若干違ったのかな?よく知らんので各自ぐぐってね)ものを、一般的な神ジャケ&「33回転」×2毎組でリリース。
これはその、2枚組の「Second Edition」であります。
つっても正直、自分はこれしか知らないので、音の良さや曲順などについてはよう判りません。
いいの、これが俺ジナル。俺が思うならそうなんだよ、俺の中ではな。
で、このアルバムなんですがね。
所謂ニューウェイヴ、ポストパンクの名盤と言われながら、実を言うと個人的には全然好きじゃなかった。
前1stは前衛、難解なノイズ/インダストリアルながらも、片鱗や一部楽曲にピストルズ譲りなパンキッシュなスピード感が辛うじてあったので、ギリ頷けた。
音楽としての娯楽性は薄いけれど、そのその先鋭性や実験性、ラディカルな姿勢については、まあ「らしさ」も相まって表現としてアリかな、と思えるものだった。
でもなんだこれは、と。
アバンギャルドぶりたがりのおアートヅラなくせに、曲も退屈で冗長でクソつまんない。
こんなんピストルズの面汚しだと思ってたくらいだった。
あ、過去形すよ。それも何十年も大昔、ガキンチョ時代の。
さて今の耳で、聴いてみる。
1stより若干(若干、ね)ポップさが進んでる。
よりメタリック(金属的)に、ダンサブルに。
まるで呪詛のようなJohn Lydonのヴォーカルと、重苦しいベースライン。
フリーキーに神経を切り進むかのKeith Leveneのジャジーギターは、今だって個性的だ。
そして、何よりも。
その先の1stとこの次までを含めてなのだけど、このPiLが何より面白いのは、今聞くと現代メタルに明らかに通ずるところがあるってことだ。
ノイジーにほめきとどろく、轟音表現。
ドス黒い、緊張感まみれのヘヴィネス。
塞ぎこむような暗鬱さや、歪みきったシックネス…。
本作を成しているそれらはまぎれなく、現代のエクストリームメタルやドゥーム、エクスペリメンタル寄りのメタルにつながっている。
勿論それは本来逆からの話で、こうした音楽をもメタルは激性要素として吸収し、取り込みながら現代に脈々続いているってことなんだけど、いずれにせよこのアルバム、そうした現代メタラーの目でルーツィに改めて遡ってみるのも存外面白いのでは、と思ってみたり。
つっても、もっかい聴いても音楽的に魅力が高いとは、ぼくには到底思えないんだけれど(笑)。
まあ、暴論語弊も承知で言うと、アレっすね。あの時代に、こういう表現、姿勢、主張をする、というそれ自体が重要!みたいな、そんなまるでラディカリズム自体を目的化…つーとさすがに極論過ぎるけれど、少なくともそれありきみたいな、そんな時代の生んだ鬼っ子じゃないすかね、PiLってのは。
そしてその意味においても彼らのスタートはピストルズと全く同様だし、やはりJohn Lydonらしいし、つまりパンクだってことなんだろうね。
ちなみにこの後彼らは、判りやすさを増しながら、ぼくとしては更につまんなくなっていく。
んー…、この次までかな、こいつらは。
あ、さらにその次の4thにはSteve Vaiが参加してます。個人的には全くお勧めしないすけど。
- アーティスト名:PUBLIC IMAGE LTD
- 出身:イギリス
- 作品名:「Metal Box(Second Edition)」
- リリース:1979年
- NEW WAVE,POSY PUNK
よって、そのほとんどが70~80年代の古いものばかり。
尤も音楽批評というかしこまったものよりは、大概がただの独り言程度のたわいない呟きなので、ゆるーく本気にせず(笑)読んでいただければ幸いです。