飲み過ぎ気味な翌日、土曜朝の休日恒例ヴァイナルカフェ。
暴飲からの、ボーインザUSA。
コーヒーでもいいけれど、出来るならバドでも飲んでじっくり聴きたい。
あと出来るなら、バドガールともじっくり飲みたい。ボーインなUSA。
BRUCE SPRINGSTEEN/「Born In The U.S.A.」(1984)

白人労働者階級の星、アメリカン・プロテストロックンローラーの最大御所、ボスことブルーススプリング・スティーン最大のヒット作といったらこれ。
何せ大売れしたのみならず、政治問題にすら発展したことは、昭和ロックキッズ(おっさん)なら誰もが知る伝説だ。
ことの発端は、大ヒットしたタイトル曲、“Born In The U.S.A.”。
この曲、
「ベトナム戦争から帰国したが職はないし、兄弟も戦争で死んだ。
こんなアメリカという国に、俺は生まれたんだ」
という、実はアメリカ社会や政治への疑念や切実な憂いを、戦争にかり出されがちだった低所得な失業帰還兵の眼差しから捉えた名歌詞だ。
つまりはそこにこそ、短絡的な愛国ソングへの痛烈な皮肉があったのだ。
ところがこの判りやすく明快で力強いサビメロ、更にはPVでのイメージが逆に災いしたか、そうした元来の文脈が脱色され、「俺はアメリカで生まれたのだ!」というサビだけを抜き取られてアメリカ賛歌化。
はては大統領選にまで政治利用されたりして、いやあ人気者は大変だねとロックの歴史の教科書には太字で書いてあってここテストに出ます。
ちなみに言うと、そんな彼もオバマ選のときには、支持を露わに公言して、その結果に大きく貢献した。
これはリアルタイムで追っていたから覚えているけれど、スプリングスティーンはそんなオバマ支持派リベラル・ミュージシャンの、まさに象徴的存在だった。
確かにアメリカでは自らの政治的スタンス(特に大統領選においては)を表明する文化があるのは、日本とはやや違うところなのだけど、とはいえこのときのスプリングスティーンは抜きんでてガチ。
ただしリベラル派政治思想というより、寧ろオバマを支援していたような印象だった。(実際、彼はケリー選の時然り、それほど熱烈に大統領個を名指して支援することは、これまでしていない。)
事実、当時リリースされた彼のアルバム「MAGIC」は、ブッシュ政権下で痛みを受けたアメリカ社会の苦難とそれに対する怒りを刻みこんだような、割と政治色のあるアルバム。
それがリーマンショック以降のサブプライム問題で底辺層が傷つき、またイラク撤退問題などに揺れるアメリカ社会に響いたわけなのだけど、しかし。
その一方で、スプリングスティーンといえばそのファンはどちらかといえば白人労働者支持層の強いロッカー。
よって彼が民主党の、しかも黒人大統領候補を支持したことに大いに困惑が沸いたという話も。
尤も逆に言えばオバマ側としては、そんなプアホワイト層の支持の強いスプリングスティーンが味方についてくれるというのは、政治戦略上、こんなありがたいことはなかったわけで、後にオバマは大統領自由勲章を彼に送ってる。
おっと、そんなよもやま話はさておいて、このアルバムだ。
キーボードを活用した光沢あるサウンドと、明朗でキャッチーなメロ。
前作のポップ性を更にコマーシャルに進めたような作風は、いかにも80年代アメリカンロックを体現したかのような作り。
しかもタイトルトラックもさることながら、かの巨匠ブライアン・デ・パルマが手がけてコートニー・コックスを踊らせた“Dancing In The Dark”のポップなPVなどは、MTV時代も相まっていかにもアメリカンなイメージ強し。
それらもあって、ぼくら世代だとめっちゃ売れたこのアルバムから入った人が多い。
このせいで、これがアメリカンロッカー、スプリングスティーンのファーストイメージとして固まっている人が(自分も含め)多いのだけれど、でも実はこれ、古くからのファンからは当時は意外と賛否両論だったりもするらしい。
なんでも彼等からすれば、これまでのスプリングスティーンにしては明るすぎる、陰りの深みが弱いという。
うーん、言いたいこたあ判らなくもないけれど、ぼかあこっからのニワカなのでぴんとこねっすね。(キッパリ
なので、このきらめく明度の高さと、大陸的な広がり、そして汗臭い躍動感で力強く牽引していくような、いかにもアメリカンロック然としたスケール大きい傑作かと思っとります。
ではこのへんで。
- アーティスト名:BRUCE SPRINGSTEEN
- 出身:アメリカ
- 作品名:「Born In The USA」
- リリース:1984年
- ROCK
よって、そのほとんどが70~80年代の古いものばかり。
尤も音楽批評というかしこまったものよりは、大概がただの独り言程度のたわいない呟きなので、ゆるーく本気にせず(笑)読んでいただければ幸いです。

