涙のラナウェイボーイ~STRAY CATS / 「Stray Cats」(1981)

ヴァイナルカフェ
スポンサーリンク

休日恒例ヴァイナルカフェ。
今朝は、26年ぶり(!)に新作を出すというネオロカキングSTRAY CATS、不朽の名盤1stを。

邦題、「涙のラナウェイボーイ」。
原曲はBOYSだけど、涙のラナウェイボーイ。いやあ、帯付きレコオド買って良かった。
こういうのはマグでコオヒイ飲みたいとこだが、生憎ウチにはないもので。

STRAY CATS /「Stray Cats」(1981)

言わずと知れた、80年代ロックンロール史に燦然輝く金字塔。
ここはやっぱり、邦題でご紹介を。
「涙のラナウェイボーイ」。

50年代のロカビリーを復興させつつ、70年代後期のパンクをフィルターと経て自己解釈させた、ネオロカビリー。
その筆頭STRAY CATSによる、その後の影響と貢献を鑑みても揺るぎない代表作にして最高傑作が、この1stアルバムだ。

なにせSTRAY CATSがまずこれをやり、そしてこれを影響源としたフォロワーがシーンを作っていった。
言ってみれば、ネオロカの教科書。
そしてその後のパンカビリーやサイコビリー、ホラビリーなどの出発点がここにある。
そんな意味からも、ネオロカ/ロカビリー聴くならまずはここから、そう言いきっても誰も文句がないであろう不朽の名盤だ。

さてそのSTRAY CATS
この1stでのレコードデビューが、米本国内ではなく英国レーベルでなされたというのが、実はミソ。
というのも、そもそもパンクの熱まだ冷めやまぬ70年代末期、彼等が渡英ツアーを行い、それに伴ってロンドンで着火したのがネオロカの起点だというのは、もはや有名な話だ。

何せ英国にはロックンロールが、70年代にもテッズやパブロック、ガラージなど実は脈々と続いていたし、そもそもパンクだって実体はそこからの血の継承に他ならない。
つまり本国アメリカより、どちらかといえばその地盤のあった英国のほうが先立つ形で彼等の魅力を捉えたというのが、面白い。

尤も、とはいえ地元ニューヨークでも人気はあったようで、やっぱりこの時代、ニューヨークとロンドンはロックンロールで繋がっていたのだなあ、と今考えてもなんとも感慨が深い。

…なんて正史話はさておいて、翻ってこの名盤だ。

「涙のラナウェイボーイ」や「ロックタウンは恋の歌」なんてヒットソングも勿論ながら、カヴァーセンスも極上で、モータウンをやっているあたりもポイントだ。
つまり、正当後継者でありながらも、ただの50年代リバイバリストに終わっていない。
そこがSTRAY CATSの新しさだった。

パンクのストリート感性と初期衝動を用いながら、当代的な息吹も吸収し、自身のロックンロールの血肉にしている。
ここでのカヴァーアレンジが、何を況や。
この辺りの嗅覚や感性がいかにも80年代的だし、また彼等のオリジナリティだったのだな、と今更ながらしたり顔してみたり。

ヒット曲や代表曲はもう語られ尽くされているだろうけれど、個人的には地味ながらもロイ・モントレルをクールに当代的モダナイズドしてみせた「ワイルド・サクソフォン」が、実は隠れお気に入りだ。
ワルそうなスウィンギーさとか、何ともたまらないものがある。

それと、STRAY CATSといえば、やっぱりトリオ編成のクールさと、プレイの格好良さだ。
青リーゼントにグレッチ6120抱えて、若造のくせに渋みと色気すら出てるセッツぁんのギターは言わずもがな、華麗なチクチクウッドベースのスラップとスタンディングドラムもこの後に多大な影響を与えることに。
うーん、改めて、今更だけどやっぱりSTRAY CATSはカッコイイ。
ぜひとも新作にも期待しよう、但し過剰にならん程度にね(笑)。

 

DATE
  • アーティスト名:STRAY CATS
  • 出身:アメリカ
  • 作品名:「Stray Cats」
  • リリース:1981年
  • NEO ROCKABILLY,PSYCHOBILLY

 

ヴァイナルカフェとは
近年やっとアナログレコードにハマった超絶情弱時代乗り遅れ管理人、黒崎正刀が、休日の朝に趣味でコオヒイをひいて、その日の気分で持ってるレコオドを流し、まったり鑑賞している間にゆるーくSNSなどで書いているものを、こちらのブログに転用したもの。
よって、そのほとんどが70~80年代の古いものばかり。
尤も音楽批評というかしこまったものよりは、大概がただの独り言程度のたわいない呟きなので、ゆるーく本気にせず(笑)読んでいただければ幸いです。
タイトルとURLをコピーしました