よりデスメタリックに、よりヘヴィに
MISERY INDEX / 「Rituals Of Power」(2019)
やはり前レーベル移籍作は、過渡期故の試行錯誤であったのだろう。
Season Of Mistからのフルレンス2枚目となる本作では、そこから歳月を経ることで、ようやく前作で手を伸ばした変化を熟させ、血肉とし、ここに結実を示している。
先般、久方ぶりに執り行われたEXTREME THE DOJOにて、二度目の来日を果たした米メリーランドのMISERY INDEX。
聞き及ぶところによれば、大層好評なステージであったという話だが、そんな彼等のニューアルバムが早速ながらドロップされた。
殺伐怒涛グラインディングデス。
それが旧来的な彼等のサウンドイメージとして強いところだが、思えばそこに変化が顕在化してきたのが前作のこと。
なにぶんな陣営の変更に加え、所在をブラックメタル系レーベルへと移した背景も後押ししたか、かねて以上にダークな欧州デス的アプローチが進行。
これによって緩急ある抑揚とメロディックさが見直された一方で、些かながら道半ばな未消化さが覗けたことも否むまい。
しかし、そこから研鑽5年。
見事に磨き至った賜こそが、ここにある。
先ず以って秀逸なるは、やはり荒ぶり脈打つハードコアの息吹。それこそが彼等の高い剛性を豊かに力強く躍動させている要諦に他ならない。
また加えて筆するべきは、新機軸を含めた激性焦点の絞り込みと、それによっての重圧感の増量か。
重心の定まったサウンドはよりヘヴィにデスメタリックな色味を増し、ずっしりとしたストロングな暴虐性へと向かっている。
結果、サウンド志向は、モノトーンから彩りへ。
或いは、無機から有機へ。
或いは、フラッシーさからグルーヴへ…。
成る程、確かにこれまでからグラインディングな爆裂ファクタは減退しているものの、しかしハードコアならではのモッシィな剛力さと熱量は、寧ろその分強調され、絢爛に漲るばかりだ。
強靭にして重厚な、文字通り、そしてタイトル通りのパワフルな力作と喝采したい。
- アーティスト名:MISERY INDEX
- 出身:アメリカ
- 作品名:「Rituals Of Power」
- リリース:2019年
- DEATH METAL,GRIND CORE,他